院生の穴蔵

院生の穴蔵。哲学/倫理学セミナー http://pe-seminar.hp.infoseek.co.jp/

2008-02

ご報告・第四十七回哲学/倫理学セミナー

 去る二月二十三日に、哲学/倫理学セミナーの第四十七回例会が開催されました。構想発表「カントの象徴論についての試論(仮)」と、発表「社会正義と善き死:このことを考える二歩手前」が予定通り行われ、春一番の吹き荒れるなか集まった多彩な参加者による、活発な議論の場となりました。次回の四十八回は三月二十九日に、文京区民センターでの開催が予定されています。自由参加となっておりますので、発表内容や会場等の詳しい情報を必要とされるかた、哲学/倫理学セミナーについて知りたいかたは、下記のアドレスよりのアクセスをお願いいたします。

 哲学/倫理学セミナー http://pe-seminar.hp.infoseek.co.jp/

テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術

渡邊二郎氏死去

 訃報です。東京大学名誉教授で、哲学がご専門の渡邊二郎氏(結局分からないままだけど、正式のお名前は渡邊二郎?渡辺二郎?)が、今月の十二日、死去されました。死因は膵臓がんで、享年七十六歳とのことです。渡邊氏はドイツ観念論・現象学など19世紀から20世紀にかけてのドイツ哲学を中心に、西欧哲学を精力的に我が国に紹介され、また日本学術会議会長や日本哲学会会長(1991年〜1995年)、日本シェリング協会会長(1996〜1999年)などを務められました。『ハイデッガーの実存思想』『ニーチェ』『ニヒリズム』『構造と解釈』『芸術の哲学』『人生の哲学』『哲学入門』『美と詩の哲学』『英米哲学入門』『西洋哲学史再構築試論』など、多数の著作のほか、シェリング、フッサール、ハイデガーらいくつもの翻訳があります。

 いやー、これはうっかりしていました。市川崑の訃報に驚いていて、すっかり見落としていたようです。昨日、これはさすがだと思いますが、現象学がご専門の知人に酒の席で聞いて、あわてて記事を書いている次第です。でも、日哲の会長まで務めて、あれだけのお仕事がある二郎先生の訃報が、ここまで扱いが小さいとはなあ。ボクサーのほうの渡辺二郎が逮捕されたときには、あれほど大きく報道されたのに・・・そう考えると、やっぱり羽賀研二ってすごいのか?なんて素朴な疑問はともかく、ちょっと悔しいので町の図書館でリサーチしてみたところ、首都圏の主要各紙のうち、毎日と朝日が2/14の夕刊、読売が2/15の朝刊(哲学好きのナベツネをボスに頂く読売が、毎日や朝日に先を越されるのはどうかと思うけど)で、それぞれ社会面の片隅の一番小さな枠の訃報記事で伝え、産経、東京、日経はひとまず14〜16日の朝夕刊をあたってみたところ見当たらず(見落としがあったらごめんなさい)、我等が埼玉新聞もスルーでした。うーん、これは・・・今村仁司の訃報のときも憤った覚えがありますが、これはさらに輪をかけてひどいなあ。新聞屋のみなさまが頼りにならないとなると、もうちょっと私が頑張って、アンテナを張っておかないといけないのですかね。というか、私が見落としていそうな訃報関連の情報がありましたら、ぜひ教えてください。

 さて渡邊二郎氏についてですが、このブログでも一度、氏の『歴史の哲学』(講談社学術文庫)と『現代人のための哲学』(ちくま学芸文庫)を取り上げた2005年11月の記事、「70歳からの哲学」にてご登場いただいておりますが、たぶん無礼で内容に乏しいひどい記事(いつものこと?)だったと思いますので、あまり参照しないでくださいね。まあ、西洋哲学研究の分野に身を置いているかたはご存知の通り、この二郎先生、ある種の見事なほど典型的な、日本人の哲学研究者であります。たぶん何を読まれても私の意味せんとするところは了解できると思いますので、二郎先生のお仕事の特徴をご存じでない方は、なにかご自分でお読みになってくださいね。まあ、そのことの是非はひとまず置くことにしても、やっぱり学者としての仕事はきっちり残したかたですからね、このかた。とくに翻訳については、フッサール『イデーン』をはじめ、シェリングの自由論、そしてハイデガーについては、世界の名著の『存在と時間』(原祐との共訳)、『「ヒューマニズム」について』、などなど、相当私もお世話になっていますからね。二郎先生の師匠で、ご一緒のお仕事がたくさんある、岩崎武雄(このかたは、2007年7月の「哲学の基礎のすすめ」で取り上げています)との岩崎―渡邊師弟コンビが、西洋哲学の我が国への導入に果たした功績は、やはり大きなものがあるはずです。ここでまた「目指せ、渡邊二郎!」と二年半ぶりくらいに闘志を新たにしてもいいのかもしれませんが、できればだれか、現代の渡邊二郎になってくれたほうが、私としては助かるかな。

 ネタが現在いくつか滞っていますので、ちょっと難しいかと思いますが、もしかしたらまた、「追悼・渡邊二郎」特集をこのブログでやるかもしれません。取り上げてほしいものでもありましたら(『西洋哲学史再構築試論』は、さすがに勘弁ですけど)、お気軽にコメントいただければと思います。ともかく、故人のご冥福を、心よりお祈り申し上げます。


にほんブログ村 本ブログ 学術・専門書へ
FC2 Blog Ranking
人気blogランキングへ

テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術

ミカドの実像

 まずは話題になっている新刊書の紹介から。

 原武史 『昭和天皇』 岩波新書

 『<出雲>という思想』『大正天皇』などの話題作で知られる日本政治思想史家・原武史による渾身の昭和天皇論です。活発な地方巡幸など開かれた活動にも関わらず、あるいはそれゆえに、深いベールに包まれていた昭和天皇の激動の生涯と宮中における生活の実像を、時代の趨勢との相互関係において、また天皇が終世情熱を傾け続けた宮中祭祀を中心に、浮かび上がらせていきます。


にほんブログ村 本ブログ 学術・専門書へ
FC2 Blog Ranking
人気blogランキングへ

続きを読む »

テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術

【文庫集成】ヴィンデルバント・その伍

 少しでも間があくと「打ち切りか」との噂が広まる「文庫集成 新カント学派とその周辺」、第五回目です。『プレルディエン』編もひとまず片付き(それでいいのですよね?)、新たな展開を迎える今回は、次のものをご紹介。

 ヴィンデルバント『哲学概論 第一部』速水敬二・高桑純夫・山本光雄訳、岩波文庫

 ヴィンデルバントの主著『哲学概論』の翻訳、第一巻目です。本巻には二部構成となるヴィンデルバントの哲学体系のうち、「存在問題」「生成問題」「認識問題」の三つの理論哲学的な主要問題よりなる、第一部「理論の諸問題(知識問題)」が収録され、「歴史的報告」や「或一定の学説の証明」を与えるのではなく、むしろ読者を「哲学することそのものへ、反省の生きた労作へ」(p28)誘います。新カント学派に関心を寄せる読者はもとより、現時点での我が国の和辻哲郎『倫理学』の代表的な解説者である、金子武蔵(岩波版和辻全集第十一巻「解説」)・吉澤伝三郎(『和辻哲郎の面目』)・熊野純彦(岩波文庫版『倫理学』解説)の各氏が揃って指摘されているように、和辻『倫理学』の体系構成に大きな影響を与えた本書は、近代日本思想に関心を寄せる全読者人にとっても必読の一冊であります。なお、ヴィンデルバントにつきましては、この企画の第一回の記事や、そこで言及されている参考図書等をご参考にしていただければ幸いです。

 080215_2148~01



にほんブログ村 本ブログ 学術・専門書へ
FC2 Blog Ranking
人気blogランキングへ

続きを読む »

テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術

西田哲学のコンテクスト

 「文庫集成 新カント学派とその周辺」をお待ちのかたは、もうしばらくお待ちください。次回こそは必ず、ですので。今日はあのシリーズの最新作を。

 荒谷大輔 『西田幾多郎―歴史の論理学』講談社(再発見 日本の哲学)

 現象学やベルクソンを中心とするフランス哲学関係でお仕事のある若手の哲学・倫理学研究者、荒谷大輔氏による西田論の試みです。本書では、ともすれば<西田哲学>の文脈で自足しがちな西田のテクスト群を、タルスキ、クリプキ、ラカンなど、現代思想のテクスト群へと対置することで、西田の哲学を現代の論争群へ、そして西田哲学の<他者>へと、接続することが試みみられます。


にほんブログ村 本ブログ 学術・専門書へ
FC2 Blog Ranking
人気blogランキングへ

続きを読む »

テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術

第四十七回哲学/倫理学セミナー開催!

 来る二月二十三日に、二〇〇八年度のスタートとなる、哲学/倫理学セミナーの第四十七回例会が開催されます。学士会館本郷分館・7号室にて午後一時半より、構想発表 「カントの象徴論についての試論(仮)」と、発表「社会正義と善き死:このことを考える二歩手前」が予定されています。自由参加となっておりますので、発表内容や会場等の詳しい情報を必要とされるかた、哲学/倫理学セミナーについて知りたいかたは、下記のアドレスよりのアクセスをお願いいたします。

 哲学/倫理学セミナー http://pe-seminar.hp.infoseek.co.jp/

テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術

言葉と物ー中世の科学と哲学における

 これも、お待たせしました、と言うべきなのかもしれません。伝説の名著、全読書人待望の文庫化です。

 山内志朗 『普遍論争 近代の源流としての』 平凡社ライブラリー

 我が国の読書界に大きなインパクトを与え、現代日本の中世哲学・ルネサンス(山内氏はルネサンスという言葉はお嫌いなようですけれども)に大きな役割を果たした『普遍論争』の平凡社ライブラリー版です(もともとは哲学書房より刊行)。長らく絶版で、入手も困難であった本書が、このたび一斉に書店に並ぶこととなりました。本書では実像とかけ離れた平板な図式ばかりが先行し、中世哲学に対する誤解と偏見の温床となってきた従来の「普遍論争」の構図を解体し、<見えるもの>と<見えざるもの>という斬新にしてアクチュアルな観点から、中世哲学を縦横に論じていきます。なお、平凡社ライブラリーに収められるにともない、各章に現在の観点からの<補足>が書き加えられたほか、山内氏の中世哲学と普遍論争の読み直しに大きな影響を与えたと思われる、著者の師である坂部恵先生による解説が収録されております。


にほんブログ村 本ブログ 学術・専門書へ
FC2 Blog Ranking
人気blogランキングへ

続きを読む »

テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術

クリティカー・フランセーズの今昔

 まずは、すっかり見落としていた、昨秋に出た翻訳から。

 モーリス・ブランショ 『書物の不在』 中山元訳、月曜者

 『文学空間』や『来るべき書物』などの作品で、またバタイユやレヴィナスとの交流で知られる、戦後フランスを代表する批評家・思想家、モーリス・ブランショの評論の翻訳です。本書は、未邦訳のブランショの主著『終わりなき対話』の末尾に収められた、彼の代表的な評論の翻訳で、「叢書・エリクチュールの冒険」の一冊目として、昨年九月に刊行されました。ここでブランショは、「知識を蓄え、受容する場所」である<書物>に対し、<書くこと>という「気違いじみたゲーム」(マラルメの表現)が魅惑され、そこに赴くことを志向し続ける、<書物>の外部である≪書物の不在≫をめぐって思考を紡いでいきます。


にほんブログ村 本ブログ 学術・専門書へ
FC2 Blog Ranking
人気blogランキングへ

続きを読む »

テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術

 | HOME | 
ホームページ アフィリエイト レンタルサーバー FC2ブログ 専門学校

 

ブログ内検索

プロフィール

てつがくたろうくん

Author:てつがくたろうくん
倫理学専攻の大学院生が、主に人文社会系の書籍や動向の紹介をしていきます。ぜひ下記のホームページにもお寄りください。

 哲学/倫理学セミナー
http://pe-seminar.hp.infoseek.co.jp/

カレンダー

01 | 2008/02 | 03
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 -

最近の記事

月別アーカイブ

 

カテゴリー

リンク

このブログをリンクに追加する

最近のコメント

最近のトラックバック

Powered By FC2ブログ

Powered By FC2ブログ
ブログやるならFC2ブログ

RSSフィード

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

おすすめ

FC2カウンター